足す?それとも引く?

  • 2014.09.29 Monday
  • 23:42
 9月新月期最後の週末、金曜は超快晴なのに、土曜はしっかり曇り。いくら天候のこととはいえ、なんだか理不尽なモノを感じてしまう。10月新月期は連続出張なので、次はいつになることやら。というわけで、日曜の夜ではあったが白木峰に出撃した。


 靄が多くて眠い空だが、快晴には違いない。機材をさくさくと組み上げて、まずはコマコレのバックフォーカステスト。MetaGuideを立ち上げてから、バックフォーカス+0mmと+5mmでひとコマずつ。あとで結果をみたら、どうやら+0mmのほうが若干シャープに見える。もしかすると、適正バックフォーカスは延長ではなく短縮の方向に答えがあるのかもしれない。これを確かめるためには、新しいアダプターを調達しないと。幸い、TSに光路長1mmのM48-EOSリングがあるのを見つけた。惑星用のウェッジプリズムともども、ドイツに刺客を送ってみようかどうか、迷ってしまう。


 <R-140SS改・KissX2改・ISO800x10minx4>

 それはそうと、少しは撮影らしいこともやらなければ。最近全く赤いものを写していなかったので、まずは胎児星雲に。ところがこの夜のhnskyはカーソルも望遠鏡も暴走してしまい、使い物にならない。そこでCielにしたら、暴走はするがハンドボックスでの導入は受け付ける。数回の試写で胎児星雲を中央に入れ、15分の4枚を始めたが、MetaGuideが2枚目以降ガイドしてくれない。あれこれ設定しなおして、時間がなくなってきたので10分にしたら、今度はひとコマ撮ったところでいきなり暴走。架台もPCもリセットしなければならなかった。
 そのあと慌てて導入して撮ったのがこれ。星雲は右下に寄ってしまい、露出不足も相まってどうにも見栄えがしない。そこで少しは見栄えのする対象をというわけで・・・

 <R-140SS改・KissX2改・ISO1600x5minx4>
 すばるを狙ってみた。スパイダーの光条がどう出るかも興味があったからだ。ところが、画像をひらいてみると、なんとゴーストの嵐。まるでマンボウの幽霊のような光芒がいくつも群泳している。
 このゴースト、シュミット光学系の弱点で、複雑な4次曲面でできた補正板の乱反射によるものだ。純シュミットであれば、補正板は球心位置にあるので、傾けることで像に悪影響を与えずにゴーストを離れたところに駆逐することができる。ところがシュミットニュートンではそうはいかず、補正板が傾くととたんに収差が増すようになってしまう。こればかりは軽量化の代償として諦めないといけないだろう。
 そうそう。この晩の収穫は、ガイド環境が復活したこと。胎児星雲でいったん赤道儀が暴走したあと、パラメーターはいじっていないのにMetaGuideの挙動がどうも落ち着かない。そこで、ダメ元でPHD Guidingにしてみたら、時々詰まりながらもなんとか動く。これはケーブルが原因かもというわけで、DSI Proで使っていたUSB2.0対応のものに換えてみたら、さくさくと動き出した。これまでの苦労は何だったんだろうかとため息が出てしまったが、何はともあれ復活したのは良いことだ。おまけに画素ピッチが細かくなったので、ガイドの精度も格段に上がったようだ。残るはASCOM Temma Driverの暴走。これさえおさまればまた快適な環境が戻ってくるにちがいない。

リハビリ撮影

  • 2014.06.09 Monday
  • 12:38
 土曜の夜は、翌日に中体連応援を控えていたので無理はすまいとかいいながら、舌の根も乾かぬうちに我慢できず出撃。靄が多い中を、天頂付近だけならよかろうと白木峰に設営した。
 トラブルは、まず出発前から。先日購入しておいた12V用PC電源の、プラグの形状があわない。同じ東芝でも19V用のプラグはあるのだが。オプションプラグセット13種というのを買わないといけないようだが、それが本体価格よりも高い。しかし無いと話にならないので、怒りのクリックを。。
 あとは現地で、トラブルが出るは出るは。まずは立ち上げたPCが内蔵モデムで電話をかけようとして、他の操作を受け付けない。数回再起動しても変わらず、バッテリーを抜いて強制切断したらあっさり治ってしまった。
 そこで望遠鏡に接続して、ASCOMを起動したら、今度はTemmaドライバーが見つからないと。入れておいたはずだが、これは妙。幸いインストーラーは保存していたので、再インストールで復活。今度は暴走もなく、自動導入も快適。しかし、アライメントしても微妙なずれが残るという症状はあいかわらずだ。
 
n4.jpg

 そして撮影したのがコレ。R-140SS改、ISO1600,5分x5枚のコンポジット。対象も露出条件も、先日の船長っさんとほぼ同じ。そして、トラブル頻発についても・・・
 次の対象は、ケフェウス座のIC1396。以前からチャレンジしているが、淡かったり霞があったりしてなかなかうまくいかない対象だ。この日も靄はあったが、幸い気温は低めなので・・・と導入して、ガイド開始しようとしたら、パルスガイドのエラーと出てうんともすんともいわない。Temmaドライバーを入れ直しても同じ。じゃあ、ASCOMを入れ直して・・・みたら、また自動導入で暴走するようになってしまった。そろそろ薄明も始まるし、ひとコマだけ撮ってみたら星像が甘い。補正板をみたら夜露びっしり・・・というところで諦めて、ダークを撮りながら撤収した。
 画像そのものは、光軸はよさそうだが、バスティノフマスクが劣化して使えなくなったので、ピントは甘い。おまけにまだスケアリングがとれていないようで、画面下側の星像が肥大している。調整の余地はまだ残っているが、鏡筒の剛性が足りないようで、いまいち安定性がない。また、せっかくのコマコレも使ってみたいので、使用前提でオリジナルの鏡筒に戻してみようと思っている。戻すといっても、鏡筒の天地をひっくり返して、接眼部と強化プレート、斜鏡スパイダーの穴を開け直すという大改造になってしまう。これがうまくいけばF3.39の世界が待っている。面倒だがやらねばなるまい。

R-140SS改造計画・鏡筒補強後のファーストライト

  • 2014.02.09 Sunday
  • 14:24
SN2014J_M82.jpg

 半月を過ぎ、天気予報も悪かったが、AstroGPVでは少し晴れ間が出そうだったので、久しぶりに夜の白木峰へ。家族でランタンフェスに行ったあとで出撃は23:00頃。久しぶりの組み立ては少し手間取り、PHDのキャリブレーションがうまくいかなかったりして、撮影に入ったのは24:50頃からだった。
 強風と雲間を縫っての撮影は打率が低く、2.5分6枚のうち、使い物になったのはわずか2枚。おかげでM81の腕はあまり写っていないが、これ以上露出を伸ばすとM82の超新星SN2014Jが埋もれてしまう。まあ妥当な露出だろうと思う。

北天拡大.jpg

 中央と4隅の星像は、こんな具合。左上の像はシミュレーション通りのキノコ型。対象は子午線通過直後だったので、接眼部の曲げモーメントは長手方向にかかっている。右上と比べると星像の違いがわかるが、崩れ方の差は以前よりだいぶ小さくなっている。
 このあと、南東の中天に向けて、M99の超新星も狙ってみたのだが、ガイドが流れてしまい、厚い雲がひろがってきたので撤収することにした。撤収中に急速に晴れ上がり、ダークフレームを撮って三脚を片付ける頃には月没とともにすばらしい快晴になった。普段ならもういちど装備を引っ張り出すところだが、翌日が日曜当番だったため、あっさりあきらめて帰宅した。

フラット北&南東.jpg

 M99のほうはガイドが流れてしまったので、星像比較はできなかった。それぞれの周辺減光を比較してみると、まだ鏡筒にたわみが残っているのが確認できる。しかし、その量じたいはだいぶ小さくなっているようだ。まあ、これ以上の補強はできないので、このあたりで満足するしかないのだろう。これで第2次改造は一応終了したことになる。あとは第3次改造として、純シュミット化するか、コマコレを加えるかして周辺星像の改善を狙うことになる。前者ならじっくり構えて構想を練るのがよいだろうが、後者なら消費税が上がる前に手を打つ必要がある。物欲大佐に相談してみることにしよう。

ASCOMあれこれ〜明け方の彗星たち

  • 2013.11.14 Thursday
  • 17:10
 平日ではあったが水曜の夜、というより木曜の明け方に、明るくなってきたLovejoy彗星を目当てに白木峰に出撃した。この日をのがすと、木曜夜の予報は天候不良、金曜夜は晴れるが土曜に出張で嘉穂まで運転しないといけない。おまけに月回りも悪くなるので、この日が唯一のチャンスだった。出撃準備をしながらネットをチェックすると、なんとISON彗星がバーストしたとのこと。そろそろ金星軌道を横切る頃で、過去には明るくなることを期待されていながら、このあたりで崩壊消滅してしまった彗星もいくつかある。崩壊していないかどうか心配ではあるが、1等級ほど明るくなっているとのことなのでたのしみが増えた。
 月が沈む直前の03:00頃に設営完了。まずはレグルスを入れてアライメント。隣の星をクリックすると、今度は順調にカーソルが動いて・・・何かおかしいと思ったら、鏡筒は逆方向に動いていた。前回同様東西南北の反転スイッチをクリックするが、どうにもおさまらない。これで30分ほど貴重な時間を浪費してしまったが、ASCOMを再起動したらあっさり治ってしまった。あとは順調にLovejoy彗星を導入して、明るいので彗星核追尾で撮影開始。タイマーリモコンを導入してからというもの、撮影中が暇になってしまったので、今回も珈琲をいれて一服。双眼鏡を忘れてきたのが残念だった。
 そろそろISON彗星の高度があがってくる時間になり、薄明も迫ってきたのでLovejoyを切り上げ、ISONへ。ところがここでまたASCOMが暴走し、なんとか落ち着いたときには薄明直前。2分露出で4枚ほどしか撮影できなかった。あとはひたすらダークフレームを撮影しながらの撤収作業。フラットフレームを撮影しないといけないので鏡筒を弄ることができず、とうとう眼視では見ることができなかった。今度は双眼鏡を忘れないようにしよう。
 で、肝心の画像は、左がLovejoy、右がISON。下段はそれぞれの白黒反転画像をローテーショナルグラディエント処理にかけて、尾を強調したもの。スケールは揃えてあるが少しトリミングしている。総露出時間は左が45分、右は8分なので、移動の速さは直接比較することはできない。どちらも画角の左側1/3のところに頭部を入れたのだが、強調処理した画像では尾は画角をはみ出しているのがわかる。このふたつ、以前のエントリーに載せた画像の真ん中、右と同じものだが、見違えるほどに成長した。Lovejoyは12月上旬まで明るくなるようだし、ISONも崩壊ではなくようやく本気を出したものだと思いたい。中望遠や超広角など、このISON彗星のために投資しているのだから。

C2013R1Lovejoy&C2012S1ISONp.jpg

PCダウン(泣)

  • 2013.09.17 Tuesday
  • 20:28
New2s.jpg

 連休2日目の夜、AstroGPVでは02:00頃から一時的に雲が抜ける予想だったので、月が残っているうちに白木峰に出撃した。はじめのうちは雲が多く、タイムラプス用の画像を撮りながら様子をうかがっていたが、01:30頃から抜け始めたので機材を組み立てた。今回も75EDHF-II+0.72RCにKissX2改、ペンシルボーグの親子亀である。
 ところがここでトラブル発生。前回の出撃時からPCが立ち上がらず、セーフモードになってしまう症状が出ていたが、今回も同様、システムの修復を行ってもセーフモードに入る無限ループに。バッテリーを抜いたりあれこれしているうちに、何とか立ち上がったが、撮影に入った頃には03:20頃になっていた。しばらくするとあちこちで雲がわき出し、最初のうちはうまいことに写野を避けて流れていたのだが、一枚目の最後の頃から時々写野を横切るようになってしまった。モニターではなんとか写っているようだったが、2枚目を終えたところで雲が切れなくなり撮影終了。なんとも煮え切らない結果になってしまった。
 その後は、今度こそは現場でダークフレームを撮影して、結果は万全・・・のはずだったが、前回同様にダークを引くと黒点の嵐。仕方ないのでRAP2とステライメージの双方で輝点・黒点除去をかけるだけにした。フラットは前回のデータを流用したので、やはり画面下のカブリを取ることはできなかった。今回の露出はISO800の20分。時間があれば、ISO400の30分を試したかったところだが、PCトラブルで時間を浪費してしまったので、仕方が無い。このPC、翌日の昼間に確認したら、とうとうセーフモードから抜けきれなくなってしまった。夜露に濡れ、砂塵にまみれての使用だったので、よくここまで保ったものだとも思う。新品では勿体ないので、至急適当な中古を手配して木星シーズンの本格化に備えないといけないだろう。
 そうそう、カメラのノイズについても、改造前はこんなにひどくなかったので、もう一度分解してコネクターを掃除しないといけないかもしれない。何かと忙しい秋になりそう。

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