斜鏡落下事故を乗り越えて復活したシュミットニュートン改造計画、第2期改造もいよいよ大詰めに入ってきました。光軸調整はもはや素人の手に負えるものではなさそうなので、コスモス花宇宙館の星見人さんにお願いしています。年末にクリニックまで往診(笑)していただいて、粗調整まではできたのですが、これ以上の調整には宇宙館で人工星を使った追い込みが必要です。
これは往診していただいたときの診察風景。処置台に鏡筒が載っているというシュールさがとても受けました。星見人さんの背後には、デジタルレントゲン用の白黒モニターがあり、シャウカステンモードにすると白一色になるため、フラット画像の取得に流用しています(笑)
さて、第2期改造(接眼部の2インチ化)が終了する(まだ気が早い)と、次はいよいよ第3期改造です。現在のR-130S鏡筒は肉薄のためスケアリングが狂いやすく、R-130Sfのスパイダーに対しても少し径が大きいので、接眼部まわりの剛性が不足しているのが課題です。そこで、第3期改造ではいよいよ鏡筒を新造するつもりです。鏡筒の肉厚は0.7mmから1mmに、ただしそれでは重くなるし、外径がかわると鏡筒バンドを流用できず、かといって内径が変わると補正板と主鏡のセルが填まらなくなるので、あれこれ工夫しないといけません。
現在のところ、接眼部と斜鏡まわりは外径155mmの1mm厚にして、前後に内径155mm,0.7mm厚の筒をかぶせる鏡筒を構想しています。ただし、都合良い既製品のパイプが無い(ボイド管ならあるみたい)ので、TOMITAさんに相談するか、近所のステンレス専門の鉄工所に相談するかしかありません。鏡筒長は、現在のところ1m。いよいよ純シュミットになるわけです。
しかし、純シュミット化にもいくつか難点があります。まずは鏡筒が長くなるので、風の影響を受けやすくなること。とはいってもEM200クラスで1m長の鏡筒を運用することはあるわけで、それほど無茶な話でもなさそうです。ふたつめは、周辺減光。R-140SSの口径140mmに対して、主鏡径は145mmほどしかありません。焦点距離は変わらないのに補正板が遠くなるので、周辺減光の度合いが増すことが予想されます。そこで、もうひとつの解決策であるコマコレクターの使用が検討課題に挙がることになります。
ニュートン用のコマコレクターは、高価なWynneタイプを除くと、おおむねF4からF6のF値に対応しています。有名どころは、笠井のGSコマコレとテレビューのパラコア、バーダーのMPCC。笠井のは詳細不明ですが焦点距離移動量が多そうです。また、パラコアは焦点距離を1.1倍ほどに伸ばすのに対して、MPCCは焦点距離不変。R-140SSに使用した撮影例もあるので相性はよさそうです。これなら鏡筒を延長しなくても収差を減らすことができるでしょう。しかし、F値が変わらなくても構成レンズが増えるので、シュミット特有の抜けの良さがどうなるか心配でもあります。
まだ第2期改造の最終評価までには時間がかかるので、純シュミット化とコマコレ併用のどちらが良いか考えあぐねていたところ、ダークホースが現れました。新年最初の撮影対象になった馬頭星雲・・・ではなく、ドイツTSのコマコレクターです。MPCCより若干安く、M48EOSアダプタを含めてもMPCC同等。こちらのほうがT2マウントよりも周辺光量では有利になります。それよりも気になるのが、焦点距離を0.95倍にするということ。焦点位置の移動量も3mmと最小です。これを使うと、現行のf.l.=500mm,F3.57がf.l.=475mm,F3.39になります。2インチアイピース眼視での使用例も見つかり、周辺像も良好な様子。この数値は、密かに競合機種に想定しているε-160のf.l.=530mm,F3.3と、ε-130のf.l.=430mm,F3.3に肉薄するものと勝手に思い込んでいます。
我がR-140SS改は第2期改造で斜鏡径が50mmから増大してしまいましたが、偶然ε-130/160と同じ63mmになりました。この斜鏡による遮光の影響が、F値が小さくなることによって若干改善されないかと、都合の良い想像をしているところです。第2期改造の評価が定まったら、第3期に入る前に物欲大佐が作戦遂行してしまうかもしれません。