21P/ジャコビニ=ツィナー彗星の最盛期

  • 2018.09.20 Thursday
  • 14:49

 9月中旬の連休、月まわりも良く、ちょうどジャコビニ=ツィナー彗星が見頃を迎えているので、小長井のいつもの場所に出撃することにした。

 彗星はちょうど双子座の足元にいて、周囲に星雲星団が点在しているので、まずは200mmF2.8で広視野撮影を。はじめは20cmアリガタの両端に雲台をつけて、それぞれカメラとペンシルボーグを載せようとした。ところがワッシャーやネジ類が入った箱を降ろしてしまっていたので、うまく取り付けることができない。スライディングプレートを引っ張り出してみたが、これも駄目。結局はいつも通りにR-140SS改IIを載せて、ペンシルボーグの代わりにカメラを載せることにした。ここまででだいぶ手間取ってしまい、彗星は高く昇っている。

 この組み合わせでは、R-140SSの焦点距離500mmがガイド鏡になる。明らかに過剰性能で、試写してみると、シンチレーションを拾うためか、ガイドが安定しない。仕方ないのでISO3200で60秒露出に切り詰めた。

 <撮影データ:2018年9月16日03:41:36〜,CanonEF200mm1:2.8L(f2.8),EOS600Da(ISO3200,60sec,16コマコンポジット,LPS-P2)>

 緑のコマからダストテールを伸ばしている21Pのすぐ北に、M35とNGC2158の散開星団コンビ。中央左には超新星残骸のクラゲ星雲、右下にはHII領域のモンキー星雲と、多彩な天体があつまった。翌日にはモンキー星雲のすぐ北まで移動するようだが、全体的なバランスとしてはこちらのほうが良さそうだ。

 当初の撮影予定はこれだけだったが、薄明まですこし間があるし、せっかくR-140SSを載せているので、直焦も撮ってみた。ところがガイドが暴走したり、8コマ撮ったかと思えばノーフィルターだったりして満足いくものにならず、ついでに懸案事項の数珠状ゴーストの原因検索を兼ねたレデューサーコレクターのテストをしたりして、最後にHEUIB-IIをつけた直焦を撮ったときは薄明が始まっていた。

 <撮影データ:2018年9月16日04:58:35〜,R-140SS改II(d=140mm,F3.06),EOS600Da(ISO3200,60sec,4コマコンポジット,HEUIB-II)>

 薄明のため、4コマしか撮影することができなかったが、彗星の明るさに助けられてそこそこの画像になった。このあと、スカイフラットとダークを撮影して日の出直前に撤収した。

 今後は月も明るくなってくるし、21Pも次第に暗くなる。7.2等の彗星が最近でいちばん見応え在るというのも困ったものだ。冬のウィルタネン彗星には頑張ってもらわないと。

 おまけ画像。16日の宵、月と4大惑星の位置関係が良かったので、クリニックの駐車場から急遽撮影。魚眼をとってきて、開けた場所に移動して、三脚をたてて・・・としていたら金星が沈んでしまうので、レンズや前景を選ぶ余裕もなかった。

ちぐはぐな星見。

  • 2018.08.13 Monday
  • 22:38

 8月にはいってしばらくすると、台風の影響もあるのか、それとも上空に寒気が入っているのか、シーイングが荒れることが多くなった。火星より高いところで、ベガやアルタイルがじらじらと瞬いているのを見ると、いくら晴れていても惑星装備を出す気にはならない。夏のスタパーの天気予報も曇りになってしまったところで、消化不良にならないよう、快晴の9日晩に白木峰に出撃した。

 <撮影データ:2018年8月9日23:57:20〜,AT-X1120(11mm,f2.8),EOS80D(ISO3200,20sec)>

現地到着するなり明るい散在流星が流れ、その後も散在やペルセウス群がぽつぽつと流れる。シーイングが良くないぶん、透明度は素晴らしく、本来なら市街光が強い南西方向から天の川がしっかり立ち上がって、そのまま白鳥痤からカシオペアを通って、北東の山並みまでつながっている。R-140SS改IIを組み立てている間に火星と天の川を放置撮影していたら、いつのまにかペルセウス座群の流星がとびこんだ。この日は明るくなってきた21Pジャコビニ=ツィナー彗星を狙ったのだが、数コマおきにガイドが暴走し、おまけにフラットもダークもファイルが壊れていて、まともに処理することができなかった。

 そしてスタパー当日。夕方にはすこし晴れ間はあったが、21:30頃現地到着するなり雨がぱらぱら。佐世保から友人が星景の予行にと来ていたのだが、しばらく待っても好転の気配はなく、22:00すぎに帰ってしまった。その頃からすっかり宴会モード。ところが次第にまとまった晴れ間が出てきて、深夜にはかなり見えるようになった。友人が帰ってしまったのが悔やまれるが、こちらの装備もちぐはぐである。まず、25cm反射で自動導入しながらまったりと眼視をする予定だったのだが、その25cmは置いてきてしまった。R-140SS改IIならあるが、直焦用のカメラがない。また、一般撮影用にEOS80Dと28mmはあるが、ケーブルレリーズ類と広角レンズはない。仕方ないのでR-140SS改IIを出して、しょぼい眼視など。あとは明け方に向けて増えていくペルセ群流星を愛でながらの宴会だったが、ほろ酔いでうたた寝している間にブヨに両手足をひどく刺されてしまった。数日たってこれを書いているいまも痒くて仕方が無い。

 <2018年8月12日23:30,AT-X1120(11mmF2.8),EOS80D(ISO3200,19sec),LPS-P2フィルター使用,SILKYPIX6で現像,PhotoshopCS6でトーン調整>

 スタパーは楽しかったが、星に関してはどうにも不完全燃焼だったので、スタパー翌日にも小長井に出撃。今度は25cm反射も持って行き、鏡が冷えるまでは固定撮影と自動導入での星雲星団の眼視を楽しんだ。ここはさすがに白木峰より空が暗く、天の川もいっそう見事である。鏡が冷えた頃合いで火星に向けて見たところ、これが川底の小石を見るようにはっきりしない。試しに撮影してみても、全く使い物にならない。ここで25:00前。帰ろうかとも思ったが、先日失敗した21Pのリベンジ撮影をしようと思い立った。

 <2018年8月13日01:09:43〜01:58:51,R-140SS改II(d=140mm,F3.06),EOS600Da(ISO1600,180sec,16コマコンポジット,HEUIB-II)>

 ガイドは修正量が過大にならないように1.5秒間隔におさえて、3分16枚露光が無事に済んだ。スカイフラットとダークを8枚ずつ追加して、さっさと撤収。今度は無事に処理することができた。

 21Pは撮影時点でカシオペアのWの左端のあたりにいて、天の川に入っているためか、微光星が多い。彗星基準コンポジットでは星がうるさくなり、かといって恒星基準にすると彗星が長く伸びてしまう。そこでDeepSkyStackerの彗星・恒星両基準コンポジットを使って処理してみた。これは恒星と彗星頭部の位置合わせはしてくれるが、暗いイオンテールなどは恒星基準になるので不鮮明になってしまう。幸い、21Pには短いダストテールしかないので、不自然にならずにすんだ。7.6等級の彗星が現在のところいちばん明るいというのは少し寂しいことではあるが、小さいながらも彗星らしい姿をしているので、結構楽しかった。あとは火星が小さくならないうちに、もうすこし気流が落ち着いてほしいものだが・・・。立秋からこちら、急に夜は秋の気配がするようになった。夏の好シーイングも終わってしまったのだろうか・・・。

火星は不調。

  • 2018.08.09 Thursday
  • 17:26

 火星は7月31日に2003年以来の大接近を迎えたが、ちょうど台風が接近していて撮影することができなかった。28日の月蝕前数日間も良かったようだが、夕方になると雲が出て、諦めてデスクワークを深夜までして外に出ると晴れている、といった状態。8月に入ってから、平日に強行出撃してみたが、台風の影響が残っていて不満足な動画しか撮れなかった。

 それでも計画的に大量コンポジットをしてみようと、20本の動画をちまちまと処理してみた。これで2003年にMN61で撮ったのと同じくらいの分解能だ。大きくて重い25cmを使った労力が虚しく感じられる。ただ、20000フレームを目標にしたので、すこし画質が悪いフレームまで拾いすぎているのかもしれない。

 6月22日とほぼ同じ位相だが、ヘラス盆地の輪郭がかわっているのはダストストームが晴れてきたからなのかもしれない。南極冠は縮小していて、季節がすすんでいるのをうかがわせる。

 <2018年8月2日01:02:34〜01:22:56に撮影した20本の動画から19822フレームコンポジット、ウェーブレット・最大エントロピー処 理、ORION25cmF4.8反射、TeleVue5xバーロー、ZWO ADC使用、DBK21Au618As、1/30sec、30fps>

 そして翌日。白木峰まで行く余力がないので、クリニック駐車場に設営。狭い道路をはさんで向かいの菓子舗の上にある間は気流が荒れていたが、そこを過ぎると前夜より気流がおちついた。そこからスーパーの屋根の輻射熱に影響をうけるまでの30分ほどは、まあまあの動画を撮ることができた。次第に荒れてきたので15本で切り上げたが、選択するフレームもすこし絞り込んで、12000フレームを目標にしてみたところ、前夜よりすこし良い解像度が得られた。

 <2018年8月3日00:23:27〜00:38:38に撮影した15本の動画から11972フレームコンポジット、ウェーブレット・最大エントロピー処 理、ORION25cmF4.8反射、TeleVue5xバーロー、ZWO ADC使用、DBK21Au618As、1/30sec、30fps>

 右側、西縁で大シルチスが朝を迎えたところだ。左側にはキンメリア人の海から垂れ下がる、通称キンメリア人の涙がふたつ見えるはずだが、うまく描出することができなかった。良くなったとはいえ、まだシーイングが荒れている。

このあとも撮影を狙っているが、これを書いているここ数日、火星より高いところでアルタイルやデネブがさかんに瞬いているところをみると、機材を出す気力がそがれてしまう。ちょうど月齢も良いし、カシオペア座あたりで明るくなっているはずのジャコビニ=ツィナー彗星でも狙ってみようかと思う。

明け方の皆既月蝕

  • 2018.07.31 Tuesday
  • 18:12

 7月28日の明け方、皆既月蝕の撮影に。今回は04:30皆既はじめで、05:30頃にそのまま月没。薄明もからむので、露出が難しい連続撮影はハナから諦め、星景にしようと考えた。しかし、仕事があるので九十九島や外海方面には届かない。近場で、となると大村湾奥の三浦の海岸に陣取った。

 <2018年7月28日04:35〜,AT-X1120(11mmF2.8),EOS600Da(HEUIBII,ISO1600,10sec10コマを比較明合成)>

 まずは皆既で暗くなった星空を、西空の天の川を入れて。すこしでも写りやすいように、ノーマルのEOS80Dではなく赤外改造のEOS600DaにHEUIB IIをかませてみたが、薄明の空に肉眼でもうっすらとあるかないかの天の川を描出することはできなかった。中央のわし座から右上のはくちょう座まで、なんとなく星数が多いのがわかる。

 <2018年7月28日04:47:05,EF40mmF2.8(f4.0),EOS80D(ISO1600,10sec)

 もう少し明るくなってきたところで、ノーマルのEOS80Dで、おりしも大接近を迎えた火星を一緒に入れて。台風外周の雲が去来するので、月と火星のどちらかが翳ってしまうことが多く、思いの外苦労した。朝凪の海に、赤銅色の月と赤い火星がうっすらと映っているのがわかる。台風がらみで透明度が良かったためか、低空でも明るい月蝕だった。

 ひとしきり撮影後、月も低空の雲の向こうにかくれたので、近くにいた漁船を狙ってみた。ちょうど漁を終えて片付けているところで、このあとすぐ灯りを消してどこかに走っていってしまった。網をたたんでいたようだが、こんな岸の近くで、何を獲っていたのだろうか。箱庭のような、大村湾独特の風景。

大量コンポジット!

  • 2018.07.25 Wednesday
  • 22:23

 7月14日夜は、久しぶりの新月期週末晴天。調整をすすめてきた25cmニュートンを持って、いよいよ火星本番とばかり、白木峰に出撃した。

 望遠鏡を組み上げて、さあ極軸をあわせよう・・・としたところ、トラブル発生。なんと電源が入らない。バッテリーは月曜に車載していたので、もう寿命かとがっかりした。初代の天文用バッテリーだったVoygerは10年近くもったというのに、次のLongのバッテリーは4年ほどで昇天し、3代目も同じLong、まだ2,3年しかたっていないはずだが・・・

 気を取り直して、パーツ箱をあさってシガーライターの分岐ケーブルを掘り出した。赤道儀の電源ケーブルは車からとっていた時期もあるので10mもある。問題はPCのほうで、ケーブルをピンと張って空中で結線し、窓から引っ張り出さないといけない。分岐プラグが宙吊りになるので、緩んでないか時々確認する必要があった。また厄介なことに、車のエンジンをとめた状態でバッテリーを使っていると、定期的に電源を落とされてしまうことがわかった。どうやらバッテリーが上がらないよう対策されているようで、そのたびに火星は写野から逃げ出し、あわてて導入しないといけなかった。

 そうして撮影した火星は、前半は1/30secの30fps、後半は1/60secの60fps、いっけんシャッタースピードが速くコマ数が稼げる後者のほうがよさそうだったが、いざ処理してみると、たっぷり露出がかかった前者のほうが結果が良かった。更に良い結果を得るために、今回はじめてWinJuposにチャレンジしてみた。90秒ずつ5本連続撮影していたので、それぞれ1500フレーム超をコンポジットし、ごく軽くウェーブレットをかけてWinJuposに取り込み、デローテーション合成した。それを更にウェーブレット、最大エントロピーをかけて、7516枚コンポジットの画像ができあがった。さすがにこれだけの枚数をコンポジットすると、かなり強い処理も受け入れてくれる。おかげで25cmらしい解像度を叩き出すことができたようだ。

 <撮影データ:2018年7月15日02:29:05〜,英ORION25cmF4.8,TeleVeu5xバーロー,ZWO ADC,DBK21AU618As,1/30sec×7516フレームコンポジット>

 上が南、ダストで汚れた南極冠と青白く輝く北極雲の対比が印象的だ。そして朝の地平にはオリュンポス山が暗い斑点になって見えており、その左上にはタルシス地方の巨大火山群が斜めに並んでいる。一方、中央上にあるはずの太陽湖は輪郭不明瞭。不規則な明部はダストストームのようだ。中央左には、明るいダストストームで満たされたマリネリス峡谷が見えている。そこから夕方の地平線にかけてはモヤモヤと埃っぽく、ダストストームに覆われているようだ。今回はたまたま連続撮影できていた動画を処理してみたが、これを15000フレーム規模にすると、更に強い処理ができるようだ。そのためには動画の撮影を計画的に行う必要があり、またカメラの解像力の限界にぶちあたるかもしれないが、火星が大きい間にぜひやってみたいものだ。

 そうそう、今回トラブったバッテリーだが、帰宅後に電圧をみるとしっかり12V出ていた。それなら10年以上使ってきたケーブルが怪しいと、数年ぶりに自動後退に入ったところが、シガーライターソケットはどれもリング状に青く光るものばかり。なんとか問題無さそうなのを見付けて、電源ケーブルを新調した。後日、白木峰で運用テストして、問題ないことを確認している。

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