一期一会の彗星。

  • 2020.08.01 Saturday
  • 02:11

 7月3日に近日点を通過したネオワイズ彗星が、その数日後から明け方の超低空に姿を現した。1.2等という、北半球ではヘール・ボップ以来の明るさで、ネット上ではすばらしい画像が次々と出てきた。しかし、7月に入ってからというもの、地元北部九州は梅雨前線が停滞していて全く晴れない。そのうち明け方の条件は悪くなり、夕方の北西超低空に見えるようになってきた。

 ようやく晴れ間が見えそうな7月16日、午後休診だったので明るいうちから出撃して、北西が開けた吾妻町の牧場の里に向かった。ところが現地は南側の断層崖に南風が入ってできた低い雲に覆われ、急遽ふもとに場所を移したが、多良山系から雲が流れてきて全く見えなかった。翌早朝にも近所の田圃の真ん中に出撃したが、これも低空に雲が居座っていてアウト。18日には少しでも西にと思い飯盛町に出撃したが、これも雲で沈没。連戦連敗で、蚊に刺された痕だけが増えていった。

 翌19日、休日当番ではあったが、望外に時間通りに終わることができたので、急遽出撃することにした。16日には伊木力のほうから見えたとのことだったので、そこまで行けば太良山系からの雲も避けることができそうだ。というわけで、北西が開けていた覚えがある琴ノ尾岳の山頂駐車場に向かった。しかし、現地についてみると、前回きてからほぼ20年、まわりの樹が成長していて低空はすっかり駄目。おまけに南からの風で山頂は雲をかぶっている。すでに日没は過ぎていたので、近場で見るしかない。大草まで戻って、伊木力方面にすこし入ったところで設営することにした。

 とりあえず、北西方向は晴れ。28mmレンズの固定撮影で彗星像を探しながら、ポラリエに100mmF2.8を載せる。まだ明るい写野に彗星像を確認して、北極星が見えてきたところでポラリエの極軸をセット。試写してみたが、10秒露出でも流れてしまう。何度も極軸を微調整するが、うまくいかない。その間にも固定撮影は続けていた。

 <撮影データ:2020年7月19日21:14:33〜,Voigtlander COLOR-SCOPAR28mmf2.8(28mmF2.8),EOS80D(ISO800,15secx23コマ恒星基準合成)

 23コマを恒星基準でコンポジットしたら、すこし強い画像処理も受け付けるようになった。細く青いイオンテールと、扇形に拡がったダストテールの組み合わせは、ヘール・ボップ彗星を彷彿とさせる。8x40双眼鏡でも、明るく輝く頭部から、視野一杯に尾が延びていて、とても印象的だった。

 <撮影データ:2020年7月19日21:28:40〜,EOS600Da(ISO1600,15sec,HEUIB-IIフィルター),EF100mmF2.8USM(100mm,f2.8),9枚コンポジット

 しかし、ポラリエのほうは星が停まらない。10秒はおろか、5秒でも流れてしまう。何度か極軸望遠鏡を覗いているときに、電源が切れているのに気付いた。あわてて電源を入れると、星はきれいな点像になった。10秒露出でしばらく撮影していて、薄明がおわったのだから露出を伸ばせるはずと気付いて15秒に。それからカメラの向きを南北にあわせようと思い出して構図を決めたところで、彗星は低空の雲に隠されはじめた。雲がかかっていないコマを選び出してコンポジットしたのがこの画像だ。

 それからは、だんだん雲に隠される時間が長くなってきた彗星を、しばらく双眼鏡で見送ってから撤収した。翌週の平日は彗星どころではなく、連休はまた雨続きで、いろいろと用事もあって、28日にみたときは、モヤのせいもありすっかり暗くなってしまっていた。彗星との遭遇は、まさに一期一会。たったひと晩ではあったが、梅雨時にもかかわらず、大彗星の片鱗をしっかり見ることができて幸運だったと思う。

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